支部長挨拶

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 2025年7月1日に開催された愛知県日本病院会支部総会において、新役員が決定しました。新体制では、僭越ながら私が松本隆利先生から支部長を引き継ぐことになりました。副支部長は谷口健次 小牧市民病院長に加えて、北川喜己 名古屋掖済会病院長に新たに就任していただきました。松本隆利先生は平成18年から理事を務められ、平成22年から令和7年まで実に15年間にわたり支部長を務められました。支部長在任中はきめ細かく日本病院会本部の情報をご報告いただき、当支部及び本部の運営に多大な貢献をされてきました。

 さて、2040年には日本国民の3分の1が65歳以上となる未曾有の少子超高齢社会になる過程が着実に進行しております。現在は、医療費の削減政策、人手不足、諸費用の莫大な増加、働き方改革、地域格差等と喫緊の課題が山積みの医療情勢です。日本病院会が一般市民の方への啓発として、7割の病院が赤字であることを明確にHPに掲載する緊急事態にもなっています。

 令和8年5月に、私が第28回日本医療マネジメント学会長を務めます。厳しい医療環境ですが、テーマは前向きに『地域住民の健康寿命を延伸する医療マネジメント』と致しました。健康寿命とは、WHOが提唱した健康指標であり、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことを意味します。日本人の平均寿命は、統計が開始された1891年の女性44.3歳、男性42.8歳から、2022年には女性87.1歳、男性81.1歳とほぼ2倍に大きく改善されました。一方、健康寿命は、女性は75.45歳、男性は72.57歳であり、平均寿命と健康寿命の差は男性において8.49年(2018年は8.73年)、女性では11.63年(同12.06年)で、ともに短くなりました。都道府県別の健康寿命では、男女ともに静岡県が最も長く、男性は73.75歳、女性は76.68歳でした。愛知県は男性では15位(73.75歳)、女性は6位(76.01歳)でした。

 病院の健康寿命は何だろうか?と考えてみました。職員が活き活きと笑顔で働き、地域の医療に貢献できる期間と思います。2025年7月に長崎で開催された日本病院会の理事会で、2025年度における日本病院会の取り組みについて議論されました。電子カルテを含むDXには莫大な導入費用がかかるのに加え、維持費も高騰しています。また、給食費は令和6年度診療報酬で雀の涙ほど加算されましたが、全く不十分です。現状の診療報酬と労務費の増大が続けば、各病院の経営は、慢性心不全のごとく経時的な悪化が強く危惧されます。日本病院会からの国への要望試案を以下に列挙します。1)病院の経営支援として緊急に財政出動の要望、2)入院基本料の引き上げ(最低10%以上)の要望、3)地域包括医療病棟の基準緩和の要望、4)病院総合医への段階的評価制度の導入の要望、5)建替え・更新整備のため地域医療介護総合基金を活用できる仕組の要望、以上の5点に要約されます。当支部が今まで以上に愛知県病院協会をはじめとする医療関係団体としっかりスクラムを組み、国と県に積極的に要望を提出しましょう。まさに「啐啄の機」の到来です。全国8,042病院のうち、日本病院会の会員率は32.2%であり、愛知県は38.2%です。相澤会長は「数こそ力、正会員3,000を目指す」方針を2025年3月の総会で示されました。当支部も、できれば半数以上の会員率を目指したいと思います。会員の皆様のご協力をよろしくお願いします。

 

 愛知県日本病院会支部 支部長 岩瀬三紀

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